位置を知るということ
自分が映画の主人公にでもなったと思ってください。
20xx年9月21日、何者かによってクロロホルムをかがされ、意識不明のままどこか遠くに連れ去られたあなた。 ようやく意識が戻りました。いったいここはどこなのでしょう。夜の海岸のようです。ということは、海抜は0メートル と考えていいでしょう。
幸い外傷はないようですが、あたりには誰もいません。 星が何とも綺麗です。見覚えのある北斗七星。そのひしゃくの端をたどっていくと、 北極星も見つかりました。でも何だか変です。北極星の位置が見なれた 高さより妙に低いのです。どうやら日本ではないようです。
もし北極星が天空のちょうど中心に見えたら、そこは北極点です(わ ずかな誤差は考えない)。また地平線ぎりぎりに見えたら、そこは赤道 直下ということになります。あなたから見える北極星は地平線(水平線) から22度くらい。
ということは北緯も約22度ということになります。 でもこれだけでは、ベトナムなのかインドなのか、アフリカのどこかなの かメキシコなのか、全然わかりません。
幸い、隠し持っていた携帯電話 は無事でした。自分の位置さえわかれば救出をお願いできるのですが、 国際的ローミングはできてもGPS機能は付いていません、トホホ...。
さてそのうちに朝が来ました。見事な日の出です。携帯の日付を見る と9月23日。秋分の日です。日本(正確には東経135度の明石市)なら、 午前6時ちょうどに日が昇るはずですが、携帯の時計の表示は午前11時 ちょうど。ということは東経60度ということになります(これはその国 がサマータイムを実施しているかどうかにはまったく関係ありません)。 さて、連れ去られた先は...?これは世界地図で探していただくことにし ましょうか。
今回は晴れていたので、北極星や日の出を観測して位置がわかりまし た。曇っていれば全然わからなかったでしょう。それにそもそも北極星 の角度を正確に測定するのは至難の業です。角度に誤差が1度あれば、 100kmもずれてしまいます。また時計が10秒進んでいるだけで、赤道付近 では4km以上も西に計算されてしまいます。やはり誘拐に備えて隠し持 っておくなら、GPSつきの携帯の方が良いようです。

