単純化したGPSの基本原理

前項で述べた状態1や状態5は、何の束縛もなく2つの球面を与えたら、確かに出現してもおかしくないパターンです。

ただ、図6で説明した「GPSの方程式」として考えた場合はどうでしょう。

端末は三次元空間のどこかには確実に存在しているのです。

その「どこか」が、人工衛星との距離によってわかってくるのがGPSの基本原理なのです。

ということは、GPSの一つの方程式を満たす無限個の解の集合として与えられた球面は、その無限の中の1つとして、本当に端末が存在する地点を含んでいるといっていいでしょう。

同じ意味を持つ別の球面は、やはり端末が存在する地点を含んでいるはずです。

つまり、GPSの方程式としての2つの球面は、状態1や状態5のようにはなるはずはなく、必ず状態3のように交わるのです。

その交わった無限個の点のどこかに、実際の端末は存在しているのです。

GPSの基本原理は、三次元空間内の位置を知るために、3つの衛星からの各距離を制約条件として方程式を解くことですが、そのそれぞれの制約条件とはそれぞれの球面上のどこかということであり、その球面のうちどの2つを組み合わせても、前項の状態3のようになっている、つまり交わっているわけです。

状態3のような2つの球面の両方に含まれる点は無限にありますが、図のようにそれは一つの円周を形作ります。

その円周と別の球面の両方に含まれる点は、もはや無限にありません。

巨大なリングを「えい!」と地表につきさしたら、ちょうど地表の高さにあるリング(その太さは仮想的にゼロとみなす)の点は2個だけです。

それと同じように、円周と球面の共有点は、GPSの場合2つだけです。

つまり3つの制約条件により、端末の位置は2点だけに絞られるわけです。

そしてそのうちの一つは、地球付近とはほど遠い宇宙空間の中の一点です。

というわけで、3つの人工衛星からの距離をそれぞれ制約条件とすることで、場所は事実上一意に定まったわけです。

これがGPSの基本原理です。

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